投資失敗で借金が返せない?法的に正しい解決策と対処法
投資で大きな損失が出て借金の返済が難しくなると、「今月の返済をどうしよう」「家族や会社に知られないだろうか」と不安になる方もいるでしょう。特に、損失を取り戻そうとして新たな借入を重ねると、返済負担がさらに大きくなるおそれがあります。
投資による借金であっても、返済が難しい場合には、家計の見直しや債務整理など状況に応じた解決方法を検討できます。重要なのは、返済できない状態を放置したり、追加の借入で返済を続けたりせず、早めに現在の借金と家計の状況を整理することです。
この記事では、投資に失敗して借金が返せないときに最初に取るべき行動から、任意整理・個人再生・自己破産といった債務整理の仕組み、家族や勤務先への影響、生活を立て直すための相談先までわかりやすく解説します。自分の状況に合った対処法を確認し、無理のない生活再建につなげていきましょう。
投資失敗で借金が返せないときはどうする?最初に取るべき3つの行動
投資の失敗によって借金の返済が難しくなったときは、焦って新たな借入や投資をするのではなく、まず現在の家計と借入状況を整理することが重要です。返済を続けられる状態なのか、それとも専門家への相談が必要なのかを判断し、早めに対処しましょう。
借金総額・毎月の返済額・生活費を整理して返済できる状況か確認する
最初に、借金と家計の状況を具体的な数字で整理しましょう。借入先ごとの残高や金利、毎月の返済額、返済日を書き出し、給与などの収入から家賃・食費・公共料金といった生活費を差し引いて、返済に回せる金額を確認します。
借入状況を整理することで、家計を見直せば返済を継続できるのか、それとも現在の収入では返済が難しいのかを判断しやすくなります。
すでに返済のために生活費が不足していたり、複数の借入先への返済が負担になっていたりする場合は、無理に返済を続けるのではなく、専門機関への相談も検討しましょう。
借金返済や投資資金のために新たな借入を重ねない
返済日が迫っているからといって、別のカードローンなどから借りて返済に充てると、借入先と利息負担が増え、多重債務につながるおそれがあります。
また、「投資で取り戻せば返済できる」と考えて、新たに借りたお金を株式やFXなどの投資資金に回すことも避けましょう。投資には元本割れの可能性があり、さらに損失が発生すれば借金が増えることになります。
返済のための追加借入を検討する状態になったら、新たな借入で一時的にしのぐのではなく、現在の収入と借金のバランスを見直し、返済方法そのものを検討することが大切です。
自力での返済が難しい場合は債務整理を含めて早めに専門家へ相談する
家計を見直しても返済を続けることが難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家への相談を検討しましょう。
借金問題には、債権者と交渉する「任意整理」、裁判所を利用する「個人再生」や「自己破産」などの債務整理があります。ただし、どの方法が適しているかは、借金額や収入、保有している財産、借金が生じた経緯などによって異なります。
また、法的な相談先としては、国が設立した日本司法支援センター(法テラス)もあります。一定の要件を満たす場合には、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替制度を利用できるため、自力での返済が難しいと感じた段階で相談先の一つとして確認しておくとよいでしょう。
(参考:日本司法支援センター「法テラス(日本司法支援センター)とは」https://www.houterasu.or.jp/site/about-houterasu/houterasutoha.html)
投資失敗で借金が膨らむのはなぜ?返済不能につながる3つのケース
投資は資産形成の手段の一つですが、取引方法や資金管理によっては、投資した金額を超える負担が生じることがあります。特に注意したいのが、レバレッジを利用した取引やローンを伴う不動産投資、損失を取り戻すための追加借入です。
ここでは、投資の失敗から借金が膨らみ、返済が難しくなる代表的な3つのケースを解説します。
株の信用取引やFXでは追証によって投資資金を超える損失が生じることがある
現物株式では、通常は投資した資金の範囲内で損失が発生します。一方、株の信用取引やFXなど、証拠金をもとに実際の資金より大きな金額を取引する仕組みでは、損失が預けた資金を上回る可能性があります。
例えば、株の信用取引では、相場の変動によって委託保証金の割合が一定の水準を下回ると、追加の保証金を求められる「追証」が発生する場合があります。
さらに、急激な相場変動などによって決済価格が大きく動けば、強制決済が行われても損失をすべて補えず、不足金の支払いが必要になることもあります。信用取引やFXを利用する際は、利益だけでなく、投資資金を超える損失が生じる可能性についても理解しておくことが重要です。
不動産投資では売却してもローンが残り借金を返しきれない場合がある
不動産投資では、物件の購入にローンを利用するケースが多いため、投資が計画どおりに進まなくてもローンの返済は続きます。
空室による家賃収入の減少や修繕費などの支出増加によって収支が悪化すると、給与や貯蓄からローンを返済しなければならない場合もあります。
また、ローン残高が物件の売却価格を上回る「オーバーローン」の状態では、売却代金だけでローンを完済できません。売却するには不足分を自己資金で補うなどの対応が必要になることがあるため、物件を売却すれば借金問題が解決するとは限らない点に注意が必要です。
損失を取り戻すための追加投資や借入が多重債務につながることがある
投資で損失を出した後に注意したいのが、「投資で取り戻したい」という気持ちから、カードローンなどで新たに借り入れて投資を続けることです。
借入金を投資に回して再び損失が発生すると、投資資金を失うだけでなく、借りた元金と利息の返済も残ります。さらに、その返済のために別の金融機関から借り入れるようになると、複数の借入先を抱える多重債務につながるおそれがあります。
すでに生活費や返済資金を借入で補っている場合は、損失を取り戻すための追加投資を優先するのではなく、現在の借金と家計を整理することが先決です。返済の継続が難しい場合には、新たな借入を重ねる前に専門機関へ相談することも検討しましょう。
投資でできた借金も債務整理できる?3つの方法と違いを解説
投資によって生じた借金でも、返済が難しくなった場合は債務整理を検討できます。主な方法には「任意整理」「個人再生」「自己破産」があり、それぞれ借金の負担を軽減する仕組みや利用条件、財産への影響などが異なります。
「投資で作った借金だから債務整理できない」と決めつけず、現在の借金額や収入、保有している財産などを踏まえて、自分に合った方法を専門家と検討することが大切です。
任意整理は債権者との交渉によって将来利息などの負担軽減を目指す方法
任意整理とは、裁判所を利用せず、債権者と交渉して返済条件の見直しを目指す方法です。弁護士や司法書士へ依頼した場合は、債務者に代わって債権者との交渉を進めてもらえます。
一般的には、将来発生する利息のカットや返済期間の見直しなどを交渉し、毎月の返済負担を軽減して完済を目指します。ただし、利息のカットなどに債権者が応じるとは限らず、元金が減額されるとは限りません。
また、任意整理では交渉する債権者を選択できるため、保証人が付いている借金などを対象から外して手続きを進められる場合があります。一定の収入があり、返済条件を見直せば完済を目指せる場合に検討される方法です。
(参考:日本司法支援センター「任意整理とは何ですか。」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-001.html)
個人再生は裁判所を通して借金を減額し原則3年で返済する手続き
個人再生とは、裁判所へ申し立てを行い、法律に基づいて借金を減額し、再生計画に沿って返済していく手続きです。返済期間は原則3年ですが、民事再生法上、 特別な事情がある場合には5年を超えない範囲で延長できるとされています。
実際にどこまで借金が減額されるかは、借金総額や保有財産などによって異なります。そのため、「借金が必ず5分の1になる」などと一律に考えないことが重要です。
また、一定の要件を満たして住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用できれば、住宅ローンを返済しながら、それ以外の借金について個人再生を進められる場合があります。住宅を所有している人にとっては選択肢の一つですが、減額後の借金を継続して返済できる収入も必要です。
自己破産は投資による借金でも裁量免責が認められる可能性がある
自己破産は、裁判所に申し立てを行い、免責が許可されれば、税金など一部の債務を除いて借金の支払義務の免除を受けられる手続きです。
ただし、株やFXなどの投資によって著しく財産を減らした事情は、破産法上の「免責不許可事由」に該当する可能性があります。そのため、投資による借金なら無条件で免責されるわけではありません。
一方、免責不許可事由があっても、裁判所が事情を考慮して免責を認める「裁量免責」が認められる場合があります。日本弁護士連合会の「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【報告編】」によると、免責許可となった割合は96.85%、免責不許可は0.00%でした。実務上、裁量免責によって免除が認められるケースは多いといえます。
ただしこれは自己破産全体の数字であり、投資による借金だけを抜き出した割合ではありません。また、財産を隠す、虚偽の説明をする、手続き中に投資を再開するといった行為があれば判断は変わります。「投資による借金でも必ず免責される」と考えず 、弁護士などの専門家へ相談しましょう。
(参考:裁判所「裁判手続民事事件Q&A」https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html
法テラス「多重債務問題Q&A」https://www.houterasu.or.jp/uploaded/attachment/7496.pdf)
投資失敗の借金を債務整理すると家族や会社にばれる?知っておきたい3つの影響
投資による借金の債務整理を検討すると、「会社に知られないか」「家族にばれずに手続きできるのか」と不安になる方もいるでしょう。債務整理をしたことが勤務先へ一律に通知されるわけではありませんが、手続きの種類や借入先、家族との関係によっては知られる可能性があります。また、債務整理後は信用情報にも一定の影響が生じます。ここでは、手続きを始める前に確認しておきたい3つのポイントを解説します。
債務整理をしただけで勤務先へ直接通知されるわけではない
債務整理をしたという理由だけで、弁護士や裁判所から勤務先へ一律に通知される仕組みではありません。そのため、通常は債務整理をした事実が自動的に会社へ伝わるわけではありません。
ただし、勤務先が債権者になっている場合や、自己破産・個人再生の手続きで勤務先から退職金に関する資料などを取得する必要がある場合には、事情を知られる可能性があります。
また、自己破産では、破産手続の開始決定から免責許可決定の確定(復権)までの間、一部の資格・職業について制限を受けます。対象となるのは、弁護士・司法書士・税理士・公認会計士などの士業、宅地建物取引士、警備員、生命保険募集人などです。
期間中は業務に就けなくなるため、該当する職業の方は影響が大きくなります。一方、多くの一般的な職種は制限の対象外です。自分の職種が該当するかは、手続きを始める前に 弁護士などへ確認しておきましょう。
(参考:裁判所「破産手続」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_02_02/index.html)
家族に知られる可能性は債務整理の方法や保証人・財産の状況によって異なる
家族に知られる可能性は、任意整理・個人再生・自己破産のどの方法を選ぶかによって異なります。任意整理は裁判所を利用せず債権者と交渉する手続きであるため、裁判所を利用する個人再生や自己破産とは必要な手続きが異なります。
一方、個人再生や自己破産では、家計や財産などに関する資料の提出が必要になることがあります。同居家族と家計を共有している場合などは、手続きの過程で協力が必要となり、結果的に知られる可能性も考えられます。
また、家族が保証人・連帯保証人になっている債務がある場合は特に注意が必要です。本人が債務整理をしても保証人の支払義務まで当然になくなるわけではないため、保証人へ請求が及ぶ可能性があります。
(参考:法テラス「借金に関するよくある相談 」https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin.html)
債務整理後は信用情報への登録により新たな借入やクレジットカードに影響する
債務整理をすると、その内容に応じて信用情報機関に一定期間情報が登録されることがあります。いわゆる「ブラックリスト」という名簿が存在するわけではなく、延滞や債務整理などの情報が信用情報として登録される仕組みです。
登録されている間は、新しいカードローンやクレジットカード、住宅ローンなどの審査に影響する可能性があります。保有期間は信用情報機関や手続きの内容によって異なり、おおむね5年から10年程度が目安です。例えばCICのクレジット情報は「契約期間中および契約終了後5年以内」とされています。期間が経過すれば記録は抹消されるため、影響が一生続くわけではありません。
正確な内容は、各信用情報機関が公表している登録内容や保有期間を確認しておきましょう 。
債務整理後に新たな借入やクレジットカードの利用を検討する場合は、各信用情報機関が公表している登録内容や保有期間を確認しておきましょう。
(参考:CIC「CICが保有する信用情報」https://www.cic.co.jp/confidence/posession.html
JICC「信用情報について」https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info)
投資失敗による借金から生活を立て直すためにできる3つの対処法
投資による借金を抱えた場合は、返済だけに目を向けるのではなく、今後の生活を安定させることも重要です。自力での返済が難しいときは専門家への相談を検討し、生活費まで不足している場合は公的な支援制度も確認しましょう。ここでは、借金問題を整理しながら生活を立て直すためにできる3つの対処法を解説します。
法テラスや弁護士・司法書士へ相談して自分に合った解決方法を確認する
借金問題を自力で解決することが難しい場合は、法テラスや弁護士・司法書士などへの相談を検討しましょう。金融庁も、多重債務に関する相談先として法テラスや弁護士会、司法書士会などを案内しています。
法テラスの「民事法律扶助制度」では、収入や資産などが一定の基準以下である場合、弁護士・司法書士による無料法律相談を利用できます。また、依頼が必要になった場合には、一定の要件を満たすことで弁護士・司法書士費用などを立て替えてもらえる制度もあります。
費用が心配だからと相談を先延ばしにせず、まずは利用条件を確認し、自分の収入や借金額に合った解決方法について専門家の助言を受けることが大切です。
(参考:法テラス「サポートダイヤル:0570-078374(平日9:00〜21:00、土曜9:00〜17:00)」https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html)
多重債務でもおまとめローンが適しているとは限らないため返済総額を比較する
複数の借入を一本化する「おまとめローン」は、毎月の返済管理をしやすくしたり、借り換え前より金利が下がったりする可能性があります。ただし、借金そのものがなくなる制度ではありません。
また、毎月の返済額が下がっても、返済期間が長くなれば支払う利息が増え、返済総額が大きくなる場合があります。そのため、現在の金利や残高だけでなく、借り換え後の返済期間・毎月の返済額・返済総額まで比較することが重要です。
すでに返済が困難になっている場合は、新たな借入だけで解決しようとせず、債務整理を含めた方法について専門家や多重債務相談窓口へ相談することも検討しましょう。金融庁では、全国の財務局をはじめとする多重債務の相談窓口を案内しています。
(参考:金融庁「多重債務についての相談窓口」https://www.fsa.go.jp/soudan/)
生活費も不足している場合は自治体の相談窓口や利用できる公的支援制度を確認する
借金の返済だけでなく、家賃や食費など日常生活に必要なお金まで不足している場合は、自治体などの相談窓口も活用しましょう。
厚生労働省の「生活困窮者自立支援制度」では、生活に困っている人の状況に応じて、仕事、住まい、家計の立て直しなどに関する支援が行われています。また、一定の要件を満たす場合には、家賃相当額を支給する「住居確保給付金」を利用できる可能性もあります。
利用できる制度や要件はそれぞれ異なるため、「自分は対象にならない」と自己判断せず、まずは地域の自立相談支援機関などへ相談することが大切です。借金返済のために新たな借入を重ねる前に、利用できる公的支援がないか確認し、生活基盤の確保を優先しましょう。
なお、返済や生活の不安から眠れない、何も手につかないといった状態が続く場合は、こころの相談窓口も利用できます。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)やよりそいホットライン(0120-279-338/24時間・年中無休)では、お金の悩みを含めた相談を受け付けています。
(参考:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html)
まとめ:投資失敗で借金が返せないときは追加借入を避け早めに専門家へ相談しよう
投資の失敗によって借金の返済が難しくなったときは、損失を取り戻そうとして新たな借入や追加投資を重ねないことが大切です。借金で返済を補ったり、借りたお金を再び投資に回したりすると、返済負担がさらに大きくなり、多重債務につながるおそれがあります。
自力での返済が難しい場合は、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理を検討する方法があります。投資による借金があるからといって、法的な解決方法を利用できないと一律に決まるわけではありません。自己破産では、投資によって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりした事情などが免責不許可事由に該当する場合がありますが、事情によっては裁判所の判断で免責が認められることもあります。
返済だけでなく家賃や食費などの生活費にも困っている場合は、法テラスや自治体の相談窓口なども活用できます。一人で判断して借入を増やす前に、現在の借金額や収入、生活費を整理し、弁護士・司法書士などの専門家へ早めに相談して、自分の状況に合った生活再建の方法を検討しましょう。