株の信用取引で追証が払えない|証券会社対応と解決策を徹底解説

お金借りる

株の信用取引をしていて相場が急落し、追証(追加保証金)が払えずに悩んでいないでしょうか。強制決済の期限が迫ると、このまま借金が残るのではないかと不安になるものです。

しかし、強制決済されたからといって、必ず借金(不足金)が残るわけではありません。この記事では、楽天証券やSBI証券の仕組みを踏まえながら、追証が払えないときの対処法や放置した場合のリスク、債務整理の選択肢を解説します。

株の追証が払えない場合に起こる強制決済までの4つの流れ

信用取引で追証が発生すると、証券会社は早いスケジュールで手続きを進めます。入金期限を過ぎてから慌てても、強制決済を止めるのは困難です。

ここでは、追証が発生してから強制決済され、不足金が確定するまでの流れを解説します。

段階 プロセス内容
1. 追証発生 保証金維持率が最低基準(目安20%程度)を下回り、新規注文が制限される
2. 入金期限 発生日の翌営業日〜翌々営業日の所定時刻までに、入金または建玉決済で解消する(SBI証券は翌営業日まで、楽天証券は翌々営業日12:00まで)
3. 強制決済 追証が未解消の場合、証券会社によりすべての建玉が反対売買される
4. 不足金の確定 損失が保証金を超えた場合、マイナス差額が支払い義務のある「不足金」となる

委託保証金維持率の低下で追加保証金(追証)が発生する仕組み

信用取引では、証券会社に預けた委託保証金を担保に、その約3.3倍程度の金額まで取引できます。

保有する建玉に含み損が生じると保証金の評価額が下がり、担保の割合を示す「保証金維持率」が低下します。この維持率が証券会社の定める最低基準(目安20%程度)を下回ると、追加の差し入れを求められるのが追証です。

楽天証券・SBI証券の入金解消期限と株価の自然回復では解消しない注意点

追証を解消するための入金期限は非常にタイトです。

SBI証券では発生日の翌営業日までの解消が求められ、発生日から2営業日後の12:00までに解消されない場合、同日の後場寄付ですべての建玉が反対売買されます。楽天証券では、追証発生日の翌々営業日12:00が期限です。

いずれも証券会社によって期限も時刻も異なるため、必ず通知に記載された日時をご確認ください。

注意したいのは、発生後に株価が回復して維持率が基準を上回っても、追証は自動的には解消されない点です。必ず入金か建玉決済など、所定の手続きが必要になります。

期日までに入金がない場合に自動執行される全建玉の強制決済

解消期日までに入金や決済が確認できない場合、証券会社は保有するすべての建玉を強制決済します。

これは「反対売買」と呼ばれ、投資家の意思にかかわらず市場で自動的に売却・返済される仕組みです。相場が混乱している中で執行されることも多く、想定より不利な価格で約定するリスクがあります。

損失額が保証金を上回った場合にのみ発生する「不足金」の正確な定義

強制決済が行われたからといって、必ず借金が残るわけではありません。

決済後の損失額が、預けていた委託保証金の範囲内に収まっていれば、不足金は発生しません。相場の急変などで損失が保証金の総額を上回った場合に、その超過分が「不足金」として請求されます。

なお、不足金は決済損失だけでなく、信用取引の金利・貸株料・売買手数料といった諸経費や、担保として差し入れた代用有価証券の評価額が下落したことによっても発生します。強制決済後は、通知された不足金の内訳を確認しておきましょう。

追証が払えないときどうする?正しい対処法と借金になった場合の解決策

株の追証が払えないときの3つの対処手順

追証の支払いが難しいと分かった時点で、迅速に行動することが何より大切です。

パニックになり連絡を断つのが最も危険な対応です。ここでは、今すぐ取るべき3つの対処手順を紹介します。

楽天証券・SBI証券の窓口への連絡と支払猶予・分割相談

まずは、利用している証券会社のカスタマーセンターへ早めに連絡しましょう。

期限前に事情を説明することで、支払いの猶予や分割払いの相談に応じてもらえる場合があります。証券会社にとっても回収できないより分割で返済してもらう方が現実的なため、誠実に状況を伝える姿勢が大切です。

保有資産の換金や建玉の一部決済による請求額の圧縮

入金する現金が足りない場合は、保有している建玉の一部を自ら決済することで請求額を圧縮できる場合があります。

SBI証券・楽天証券とも、信用建玉を反対売買で決済すると、当該建玉代金の20%相当額を追加保証金額から控除できる仕組みです。たとえば500万円分の建玉を決済すれば、追証額を100万円圧縮できる計算になります。

ただし、追証の発生要因によっては建玉の決済では解消できず、入金でしか対応できないケースもあります(最低保証金額を下回ったことによる追証など)。扱いは証券会社ごとに異なるため、決済する前にカスタマーセンターへ確認してください。

あわせて、他の証券口座にある現物株や投資信託、預貯金など、換金できる資産がないかも確認しましょう。

法テラスの民事法律扶助で相談費用の負担を抑える

証券会社との話し合いがまとまらない場合は、早い段階で弁護士や司法書士へ相談してください。相談費用が心配な場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用できます。

収入・資産が一定額以下などの要件を満たせば、同一問題について3回まで無料で法律相談を受けられます。さらに、弁護士・司法書士への依頼費用を法テラスが立て替え、原則として月5,000円〜1万円程度の分割で返済していく仕組みも利用できます。

不足金は金額が大きくなりやすく、着手金の用意が難しいケースも少なくありません。「費用が払えないから相談できない」と諦める前に、まず法テラスへ問い合わせてください。

法テラス・サポートダイヤル:0570-078374(平日9:00〜21:00、土曜9:00〜17:00)

株の追証を放置した場合に起こる4つのリスク

追証や不足金を放置し続けると、状況は日を追うごとに悪化します。

証券会社は未払いの回収に向けて段階的に法的手続きを進めます。ここでは放置による4つのリスクを解説します。

期限翌日から積み上がる遅延損害金

入金期限の翌日から、不足金に対して遅延損害金が日割りで発生します。

利率は年14.6%程度に設定されているのが一般的です。消費者契約法9条2項により、事業者と消費者の間の金銭消費貸借以外の契約では、遅延損害金の利率は年14.6%が上限とされ、これを超える部分は無効となります。正確な利率は、契約している証券会社の取引約款でご確認ください。

たとえば不足金100万円を1年間放置すると、遅延損害金だけで約14.6万円が上乗せされる計算です。放置する期間が長引くほど、支払うべき総額は確実に膨らんでいきます。

証券口座の凍結と代用有価証券の任意売却

支払期限が過ぎると、対象の証券口座は凍結され、新規取引や出金ができなくなります。

さらに、担保として預けていた現物株式や投資信託は、証券会社の判断で任意に売却され不足金の弁済に充てられることもあります。想定外のタイミングで資産を失うリスクがある点に注意しましょう。

裁判所からの支払督促と給与・財産の差し押さえ

督促を無視し続けると、証券会社は裁判所への申し立てなど法的措置に移行します。

自宅に「支払督促」や訴状が届きます。支払督促の場合、送達を受けた日から2週間以内に督促異議を申し立てないと仮執行宣言が付され、そこからさらに2週間で確定します。異議を申し立てれば通常の訴訟に移行し、こちらの主張を述べる機会が得られます。

確定すると強制執行が可能になり、銀行口座の預金や毎月の給与(手取り額の原則4分の1まで。手取りが44万円を超える場合は33万円を超える部分)が差し押さえの対象になります。給与差押えの際は裁判所から勤務先へ通知が届くため、書類が届いた時点ですぐ弁護士や法テラスへ相談してください。

証券会社での取引停止と、信用情報への影響

不足金を未払いのまま放置すると、その証券会社での信用取引や新規取引が停止され、解消されるまで口座の利用に制限がかかります。

なお、「延滞が長期化すると信用情報機関に登録される」という説明は、クレジットカードやローンなど、信用情報機関の加盟会員が扱う債権についてのものです。証券会社は一般に信用情報機関の加盟会員ではないため、不足金の未払いがそのまま個人信用情報に登録されるとは限りません。

ただし、債権が回収会社に譲渡された場合や、法的手続きを経て差し押さえに至った場合は、クレジットカードやローンの審査に影響することがあります。取扱いは証券会社によって異なるため、契約している証券会社の約款や取引説明書をご確認ください。

FX追証が払えない場合の対処法!ロスカット後の借金整理も解説

株取引で発生した借金を返せない場合の3つの債務整理手続き

自力での返済がどうしても難しい場合は、法律で認められた「債務整理」を検討しましょう。

株式投資で作った借金であっても、適切な手続きを踏めば負担を減らしたり免除してもらったりすることが可能です。ここでは代表的な3つの手続きを紹介します。

任意整理による利息カットと分割返済

任意整理は、弁護士や司法書士が証券会社と直接交渉し、将来の利息をカットしたうえで元本を分割返済していく手続きです。

裁判所を通さないため比較的短期間で解決でき、周囲に知られにくいのも特徴です。一般的には3〜5年程度の分割計画を立てます。安定した収入があり、元本自体は返済できる見込みがある方に向いています。

ただし、任意整理は裁判所を介さない私的な交渉であり、債権者側に応じる義務はありません。証券会社が交渉に応じない場合は、次に紹介する個人再生や自己破産を検討することになります。

個人再生による借金の減額

個人再生は、裁判所に再生計画案を提出して認可を受け、借金の総額を減額してもらう手続きです。

減額後の金額(最低弁済額)は、借金の総額に応じて次のように決まります。

・100万円未満:全額

・100万円以上500万円以下:100万円

・500万円超1,500万円以下:借金総額の5分の1

・1,500万円超3,000万円以下:300万円

・3,000万円超5,000万円以下:借金総額の10分の1

ただし「清算価値保障原則」により、自己破産した場合に債権者へ配当される財産の価値が上記を上回る場合は、そちらの金額が基準になります。

減額後の借金は原則3年(最長5年)で返済していきます。住宅ローンを維持したまま他の借金を整理できる「住宅資金特別条項」もあり、持ち家を手放したくない方の選択肢になります。

なお、免責不許可事由が問題になるのは自己破産の場合です。個人再生には免責不許可事由の制度がないため、株式投資による負債であっても借入の理由を問わず利用できます。

自己破産と「裁量免責」という可能性

自己破産は、裁判所に支払不能の状態を認めてもらい、借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。

株式投資による借金は「免責不許可事由」に該当する場合がありますが、反省の態度を示し誠実に協力することで、裁判所の判断により「裁量免責」という形で認められるケースも少なくありません。まずは専門家に相談してみましょう。

手続きの種類 特徴 追証(不足金)への適用
任意整理 将来利息・遅延損害金をカットし3〜5年で分割返済(元金は原則減らない) 債権者に応じる義務はなく、元金が大きいと交渉が難航する場合もある
個人再生 総額に応じて100万円〜10分の1まで減額 免責不許可事由の制度がなく、借金の理由による制限はない
自己破産 免責許可決定が出れば支払い義務が免除 免責不許可事由に該当する場合があるが、裁量免責が認められるケースも少なくない

株の追証にまつわるよくある誤解

追証への不安から、正しくない情報に振り回されてしまう方も少なくありません。

正確な知識を持つことが、冷静な対処への第一歩になります。ここでは、よくある3つの誤解を整理します。

追証の未払いが刑事罰に直結するわけではない点

「追証が払えないと逮捕されるのではないか」と恐れる方がいますが、これは誤解です。

追証や不足金の未払いは、あくまで証券会社との民事上の債務不履行にあたります。意図的な詐欺行為などを除き、支払いが遅れただけで逮捕されたり刑事罰を受けたりすることはありません。

追証の踏み倒しが現実的ではない理由

「連絡を無視すれば逃げ切れる」と考えるのも現実的ではありません。

証券会社は債権回収に精通しており、放置すれば支払督促などの法的措置を講じてきます。時間が経つほど遅延損害金で支払額が増えるため、逃げ切ろうとする対応はかえって状況を悪化させます。

また、不足金で困っている人を狙い、「審査なしで融資」「借金を一本化します」「債務整理の費用を立て替えます」などと持ちかけてくる業者にもご注意ください。正規の登録を受けていない貸金業者(いわゆる闇金)や、弁護士資格を持たずに債務整理を仲介する「整理屋」は、状況をさらに悪化させます。

貸金業者は財務局または都道府県への登録が必要です。不安な場合は、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051)や、金融庁の金融サービス利用者相談室に確認してください。

証券会社への連絡を避けるとかえって不利になる理由

払えないからと証券会社からの連絡を避けていると、交渉の余地がなくなってしまいます。

早めに事情を話せば、分割払いや支払期限の猶予など柔軟な対応を検討してもらえます。無連絡のまま放置するほど法的措置への移行が早まるだけなので、誠実な姿勢が自分を守る近道です。

まとめ

株の追証が払えない場合は、放置せず早めに対応することが何より大切です。強制決済されても必ず借金が残るわけではないので、まずは損失額と保証金の範囲を確認しましょう。

その上で証券会社へ分割払いを相談し、自力での解決が難しければ弁護士や司法書士へ債務整理を相談してください。費用の用意が難しい場合は、法テラスの民事法律扶助で無料相談や費用の立替えを受けられます。

不足金を埋めるために新たな借入を重ねることは、状況を悪化させるだけです。冷静に現状を把握し、一歩ずつ生活の再建を進めていきましょう。

参考:日本貸金業協会「悪質な金融業者にご注意!」 https://www.j-fsa.or.jp/topics/association/dark_finance.php

参考:金融庁「金融サービス利用者相談室」 https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/index.html

参考:法テラス「無料法律相談・弁護士等費用の立替」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html

参考:裁判所「支払督促」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html