20代の投資失敗から人生を立て直す現実的な借金対処法
SNSなどの情報をきっかけに、暗号資産やレバレッジ取引で大きな損失を出し、20代という若さで借金を抱えてしまい、人生が終わったと感じていませんか。結論からお伝えすると、20代での投資の失敗は、決して人生を台無しにするものではありません。むしろ、若いからこそ、早めに正しい対処をすることで、人生を早期にリセットできる可能性が十分にあります。この記事では、20代の投資失敗から立ち直るための現実的な借金対処法を、専門家への相談から今日からできる家計の見直しまで、具体的に解説します。
20代の投資失敗は「人生の早期リセット」ができる
まずお伝えしたいのは、20代の投資失敗は、決して取り返しのつかないものではないということです。過度な絶望感を手放すために、まずは事実を正しく知っておきましょう。
若いうちの失敗は取り返しがつかないものではない
20代で大きな借金を抱えると、「もう人生は終わった」と感じてしまうかもしれません。しかし、これから何十年も続く社会人生活の中で見れば、20代はまだ立て直しのための時間が十分に残されている段階です。失敗した事実そのものより、そこからどう行動するかが、これからの人生に大きく影響します。
暗号資産・レバレッジ取引で20代が大損しやすい理由
暗号資産やFXなどのレバレッジ取引は、少ない資金で大きな金額を動かせる仕組みのため、利益が出れば大きなリターンになりますが、損失が出た場合も同様に大きく膨らみます。SNS上の投資情報は、成功体験ばかりが強調されやすく、リスクの説明が十分でないまま手を出してしまうケースも少なくありません。特にまとまった資金を持たない20代は、少額から始められるレバレッジ取引に手を伸ばしやすい傾向があります。
絶望する前に知っておきたい、回復までの時間の長さ
債務整理を行った場合、信用情報機関に一定期間、その事実が登録されます。登録期間は機関によって異なりますが、JICCやCICでは契約内容や返済状況が契約終了日からおおむね5年とされています。また、KSC(全国銀行協会)では破産手続開始決定などの官報情報が、その決定日から7年を超えない期間登録されるとされています。決して短くはありませんが、20代のうちに対処すれば、30代のうちに回復期間を終えられる可能性が高いという点は、知っておく価値があります。
なお、登録される情報の内容は、利用しているサービスや手続きの種類によっても変わります。自分の状況を正確に把握したい場合は、各信用情報機関に本人開示を申し込むことで、現在どの情報が登録されているかを確認できます。
参考:全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センター|センターの概要」
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/
早めの相談が20代の再起を左右する|弁護士への相談メリット
借金の対処法には、任意整理・個人再生・自己破産という選択肢があります。それぞれの特徴を理解したうえで、早めに専門家に相談することが、20代の再起を大きく左右します。
任意整理という選択肢|資格制限なし・官報非掲載のメリット
任意整理は、裁判所を通さずに、弁護士や司法書士が債権者と直接交渉し、将来の利息をカットしたり、返済計画を見直したりする手続きです。自己破産とは異なり、職業に関する資格制限を受けることがなく、官報に掲載されることもありません。会社員として働き続けながら、借金を整理したい場合に選ばれやすい方法です。
自己破産という選択肢|資格制限は一時的で復権すれば解消
まず知っておきたいのは、投資による借金でも自己破産できる可能性が高いということです。
破産法252条1項4号は「浪費又は賭博その他の射幸行為をして著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」を免責不許可事由と定めており、暗号資産やレバレッジ取引による借金はこれに該当すると判断される場合があります。
ただし、該当したからといって免責されないわけではありません。日本弁護士連合会の「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、免責許可となった割合は96.84%、免責不許可は0.08%(1件)でした。裁判所が事情を考慮して免責を認める「裁量免責」によって、実務上は認められるケースが大半です。
同じ調査では、破産申立ての原因・動機として「投資(株式、会員権、不動産等)」が3.33%を占め、1997年の調査開始以降で最も高い水準となっています。投資の失敗から破産手続に至る方は、決して例外的な存在ではありません。
自己破産の手続きの中で、裁判所から免責許可の決定を受けることで、原則として借金の支払い責任を免れることができます(破産の手続きを行っただけで、自動的に借金がなくなるわけではありません)。弁護士や警備員など一部の資格・職業には、手続き中、一時的な制限が生じますが、これは「復権」によって解消されます。復権は、免責許可の決定が確定した時などに生じると破産法(第255条)で定められています。裁判所の説明によると、申立ての書類がそろってから免責許可の決定が確定するまでには数か月かかり、場合によってはさらに時間がかかることもあるとされています。制限の対象となるのは、法律で個別に定められた職業に限られます。そのため、それらに当てはまらない仕事に就いている場合は、資格制限が直接影響しないこともあります。
参考:日本弁護士連合会「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」
https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/publication/pamphlet/2023_hasan_kojinsaisei.pdf
参考:e-Gov法令検索「破産法」(第255条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
参考:裁判所「破産手続」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_02_02/index.html
個人再生という選択肢|投資による借金でも制限をうけない
個人再生は、裁判所を通じて借金を減額し、原則3年(最長5年)で分割返済していく手続きです。
自己破産と大きく違うのは、免責不許可事由の制度がない点です。後述するとおり、投資による借金は自己破産では免責不許可事由に該当する可能性がありますが、個人再生では借入の理由を問われません。投資が原因の借金で「破産できないのでは」と不安を感じている場合は、個人再生も含めて検討する価値があります。
減額後の最低弁済額は、借金総額が100万円以上500万円以下なら100万円、500万円超1,500万円以下なら5分の1が基準です。減額後の金額を継続して返済できる収入があることが条件になります。
参考:裁判所「個人再生」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_18/index.html
どちらが適しているかは専門家に相談して判断する
任意整理と自己破産のどちらが適しているかは、借金の総額や収入の状況によって異なります。自己判断で決めつけず、まずは弁護士や司法書士に相談し、自分の状況に合った方法を見極めることが大切です。
費用面が不安な場合は、収入等が一定基準以下であることなど条件を満たせば、法テラスの無料法律相談も活用できます。
参考:法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」
https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html
今月の生活費が厳しいときの対処法(投資資金の補填は厳禁)
専門家への相談と並行して、目先の生活費が厳しい場合の考え方も押さえておきましょう。ただし、絶対に避けたい使い方がある点には注意が必要です。
借入れを増やす前に、家計の見直しと家族・専門家への相談を優先する
どうしても今月の生活費が不足してしまう場合でも、まず考えたいのは、新たな借入れを増やす前にできることです。最初に取り組みたいのは家計の見直しで、家賃や通信費、サブスクリプションサービスなど毎月かかる固定費を洗い出し、減らせるものがないかを確認します。そのうえで、支払いが難しい費用については、支払期日の相談ができないか、それぞれの請求元に問い合わせてみましょう。そのうえで、公的な支援制度も確認してください。家賃の支払いが難しい場合は、自治体から大家さんへ家賃相当額が支給される「住居確保給付金」を利用できる可能性があります。貸付ではなく給付のため、返済は不要です。当面の生活費が必要な場合は、社会福祉協議会が窓口の「緊急小口資金」で、10万円以内を無利子・連帯保証人不要で借りられます。
いずれも窓口は、お住まいの自治体の自立相談支援機関または社会福祉協議会です。
それでも見通しが立たない場合は、一人で抱え込まず、家族に率直に現状を伝えることや、前述した弁護士・司法書士といった専門家に早めに相談することを検討してください。借入れで一時的に穴を埋める対応は、返済の総額を増やし、立て直しをかえって長引かせることにつながります。
参考:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html
参考:厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」
投資資金の補填目的での利用は絶対に避ける
失った投資資金を取り戻そうとして、新たな借入れを投資に回すことは、絶対に避けてください。借りたお金でさらに投資を続けても、損失が拡大すれば、借金と投資の失敗という二重の負担を抱えることになります。カードローンは、あくまで生活を維持するための一時的な手段として位置づけてください。
SNSの投資情報から距離を置く
損失を取り戻したい気持ちが強いときほど、SNSで投資情報を追い続けてしまいがちです。しかし成功体験ばかりが目に入る環境にいると、冷静な判断は難しくなります。
投資関連のアカウントのフォローを外す、通知をオフにするなど、情報から物理的に距離を置くことも有効な対処です。地道に見えますが、再び同じ失敗を繰り返さないための確実な方法になります。
20代だからこそできる、泥臭くても確実な再起の手順
最後に、20代という立場だからこそ取り組みやすい、地道な再起の方法を紹介します。かっこよさよりも、確実さを重視して進めていきましょう。
実家や家族に率直に相談する
プライドや恥ずかしさから言い出しにくいかもしれませんが、実家や家族に現状を率直に相談することも、有効な選択肢の一つです。一時的に実家に身を寄せることで生活費を抑えられたり、精神的な支えを得られたりすることもあります。一人で抱え込まないことが、立て直しの第一歩です。
また、不安から眠れない、何も手につかないといった状態が続く場合は、心の相談窓口も利用できます。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)やよりそいホットライン(0120-279-338/24時間・年中無休)では、お金の悩みを含めた相談を無料で受け付けています。
家族に話しづらい場合でも、匿名で相談できる窓口があることを知っておいてください。
参考:厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/kokoro_dial.html
収入を増やす選択肢(副業・転職)も視野に入れる
20代は、副業や転職といった形で、収入そのものを増やす選択肢を取りやすい年代でもあります。今の仕事を続けながら空いた時間で収入を得る方法や、より条件の良い職場への転職を検討することも、借金返済のペースを上げるうえで有効です。
信用情報の回復期間を理解し、将来設計に活かす
債務整理後の信用情報の登録期間は、数年単位で見れば、決して短いものではありません。ただし、その期間をあらかじめ理解しておけば、いつ頃からクレジットカードやローンの審査に通りやすくなるかという見通しを立てながら、将来の人生設計を進めることができます。
まとめ|20代の失敗は、早期リセットへの出発点
20代での投資の失敗は、決して人生を台無しにするものではなく、若いからこそ早期にリセットできる可能性があります。任意整理と自己破産、それぞれのメリットを理解したうえで、早めに弁護士や法テラスなどの専門家に相談することが、再起への近道です。今月の生活費が厳しい場合は、まず家計の固定費を見直し、住居確保給付金や緊急小口資金といった公的な支援制度を確認してください。借入で穴を埋める対応は返済総額を増やし、立て直しを長引かせます。特に、投資資金の補填目的での借入は絶対に避けてください。固定費の見直しや実家への相談、収入を増やす工夫といった地道な行動を積み重ねながら、着実に人生を立て直していきましょう。