株マイナス放置で借金地獄に?株で大損したらどうなるかと破綻を防ぐ現実的対処法

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株価の急落などによって大きな損失が出ると、「株で大損したらどうなる?」「口座がマイナスのままでも大丈夫?」と不安になる方もいるでしょう。特に信用取引では、損失の状況によって追証や不足金の支払いが必要になる場合があるため、放置せず早めに状況を確認することが重要です。

ただし、株で大損したからといって、必ず借金を抱えたり自己破産に至ったりするわけではありません。取引方法や損失額、資産・収入の状況によって必要な対応は異なります。

本記事では、株で大損したらどうなるのかを現物取引と信用取引の違いから解説し、追証や不足金が発生した場合の対処法、債務整理、税制上の損益通算・繰越控除まで紹介します。まずは損失額と支払い状況を整理し、自分に必要な対応を確認していきましょう。

株で大損したらどうなる?知っておきたい3つのリスク

株で大きな損失が出た場合、現物取引と信用取引ではその後に起こり得ることが異なります。現物取引では保有株の価値が大きく下がる可能性がある一方、信用取引では追証が発生したり、強制決済後も不足金の支払いが必要になったりする場合があります。

まずは「大損するとどこまで損失が広がる可能性があるのか」を理解し、自分が現在どの状況にあるのか確認することが重要です。ここでは、株で大損した場合に考えられる3つのリスクを解説します。

現物取引では株価下落によって投資した資金を大きく失う可能性がある

現物取引は、自己資金で株式を購入する取引です。購入した株価が大幅に下落すれば保有資産の価値も大きく減少し、売却すれば損失が確定します。

信用取引のように借りた資金を利用して取引する仕組みではないため、通常は株価下落による損失が投資した資金を超えて広がるものではありません。ただし、生活費や近いうちに必要になるお金まで投資していた場合は、大損によって家計に深刻な影響が出る可能性があります。

そのため、まずは保有株の評価額や損失額を確認し、生活に必要な資金まで影響していないか把握しましょう。

信用取引では大損によって追証が発生し追加資金が必要になることがある

信用取引では、証券会社に保証金を預け、資金や株式を借りることで自己資金を上回る金額の取引ができます。そのため、相場が予想と反対に大きく動くと、現物取引よりも損失が拡大する可能性があります。

さらに、株価の下落などによって委託保証金率が証券会社の定める基準を下回ると、「追証(おいしょう)」が発生する場合があります。

追証が発生した場合は、証券会社からの通知を確認し、必要な金額・期限・解消方法を速やかに確認することが重要です。解消期限は証券会社によって異なり、発生日の翌営業日までとする会社や、翌々営業日の正午までとする会社があります。数日しか猶予がないため、通知に気づいたらまず期限の日時を確認してください。 期限までに必要な対応ができなければ、建玉が強制的に決済される場合もあります。

(参考:日本証券業協会「信用取引」https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/jishukisei/words/0312.html)

強制決済されても不足金が残り支払いが必要になる場合がある

信用取引で特に注意したいのが、強制決済されれば損失がすべて清算されるとは限らない点です。

相場が急激に変動した場合などには、建玉を決済しても損失を口座内の資金だけでは補えず、「不足金」が発生することがあります。不足金が発生すれば、証券会社から指定された期限までに入金を求められる場合があります。

つまり、「株で大損=必ず借金」ではありませんが、信用取引では損失の状況によって追加資金が必要になり、手元資金だけでは対応できなくなる可能性があります。

追証や不足金が発生している場合は通知を放置せず、金額や期限を確認したうえで早めに対応することが重要です。

追証・不足金を放置するとどうなる?知っておきたい流れと4つの対処法

信用取引で追証や不足金が発生した場合、支払いが難しいからといって放置しても問題は解決しません。不足金は証券会社に対する確定した債務であり、支払わないまま時間が経つと、次のように段階が進んでいきます。

・支払期限の翌日から、遅延損害金が発生します。利率は証券会社の約款によりますが、年14.6%程度に設定されているのが一般的です

・不足金が解消されるまで、その証券会社での信用取引や新規取引は停止されます

・担保として預けていた現物株式や投資信託が、証券会社の判断で売却され弁済に充てられることがあります

・督促に応じない場合、裁判所を通じた法的手続きに移行します。支払督促が届いた場合、送達を受けた日から2週間以内に督促異議を申し立てないと仮執行宣言が付き、強制執行が可能な状態になります

・強制執行では預貯金や給与が対象になります。給与は原則として手取り額の4分の1まで(手取りが44万円を超える場合は33万円を超える部分)が差し押さえられ、勤務先にも通知が届きます

つまり、放置しても金額は減らず、選べる選択肢が減っていくだけです。まず必要な金額や期限を確認し、自分の資産や収支から対応できる範囲を整理することが大切です。返済が難しい場合には、一人で抱え込まず、早めに専門家や公的な相談窓口を利用する方法もあります。

ここでは、損失が発生した後に検討したい4つの対処法を解説します。

証券会社に連絡して追証・不足金の金額と支払期限を確認する

追証や不足金が発生した場合は、まず利用している証券会社からの通知を確認しましょう。確認したいのは、必要な金額、支払期限、入金方法などです。

具体的な対応方法や期限は証券会社によって異なるため、わからないことがあればカスタマーサポートなどに問い合わせることが大切です。支払いが難しい場合も、自己判断で放置するのではなく、現在の状況を伝えて対応方法を確認しましょう。

特に相場が大きく変動しているときは、損失額が変わる可能性もあります。まず正確な金額と期限を把握し、次に取るべき行動を整理することが重要です。

手元資金・収入・毎月の支出を整理して支払可能額を把握する

追証や不足金への対応を考える際は、自分の家計状況も整理しておきましょう。預貯金や毎月の収入だけでなく、家賃、食費、光熱費など生活に必要な支出を確認し、実際に支払いへ回せる金額を把握します。

焦って生活費まで支払いに充てると、その後の家計が立ち行かなくなる可能性があります。また、損失を取り戻そうとして新たな投資や借入を重ねると、負担がさらに大きくなるおそれがあるため注意が必要です。

資産・収入・支出・債務を一覧にしておけば、弁護士などの専門家へ相談する際にも現在の状況を説明しやすくなります。

支払いが難しい場合は早めに専門家や公的相談窓口へ相談する

手元の資金や収入だけでは支払いが難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家、公的な相談窓口への相談も検討しましょう。

金融庁では、多重債務に関する相談窓口を案内しています。また、法テラスでは、収入や資産など一定の要件を満たす方を対象に、弁護士・司法書士による無料法律相談や費用の立替制度を設けています。

支払いが困難になった場合の解決方法は、債務額や収入、資産などによって異なります。自己判断で新たな借入を重ねる前に、利用できる相談窓口を確認することが大切です。

(参考:金融庁「多重債務についての相談窓口」https://www.fsa.go.jp/soudan/)

(法テラス「無料法律相談・弁護士等費用の立替」https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/)

家族に知られたくない場合は早めに専門家へ相談して対応方法を確認する

株で大損したことや追証・不足金が発生したことを、夫や家族に知られたくないと考える方もいるでしょう。ただし、家族に知られないことを優先して証券会社からの通知や支払いを放置すると、状況がさらに悪化する可能性があります。

家族に知られる可能性は、現在の債務状況や利用する解決方法によって異なります。任意整理は裁判所を利用しない手続きのため、比較的知られにくい方法です。一方、個人再生や自己破産では裁判所への申立てが必要となり、家計や財産に関する書類の提出を求められます。裁判所によっては、同居家族の給与明細や所得証明書、通帳の写しの提出を求める運用もあるため、同居されている場合は説明が必要になることがあります。

また、①家族が保証人になっている債務がある、②持ち家を処分する、③家族からの借入を債権者名簿に記載する、といった場合も、家族に伝わることになります。

「できるだけ家族に知られずに解決したい」という希望がある場合は、相談時にその旨を弁護士や司法書士へ伝えましょう。必ず家族に知られずに解決できるとは限りませんが、現在の状況を踏まえて、どのような手続きや対応が考えられるのか確認できます。

株で大損して返済が難しい場合に検討できる3つの債務整理

株の損失によって生じた債務を自力で返済することが難しい場合は、債務整理を検討する方法があります。主な手続きには、任意整理・個人再生・自己破産があり、それぞれ仕組みや利用条件、財産への影響などが異なります。

特に投資によって生じた債務で自己破産を検討する場合は、免責に関する注意点もあります。現在の収入や債務額、保有している財産などを整理したうえで、自分に適した方法を専門家に相談することが大切です。

任意整理で将来利息や返済条件の見直しを交渉する方法

任意整理は、裁判所を利用せず、債権者と話し合って返済方法などの見直しを目指す手続きです。弁護士や司法書士へ依頼し、返済期間や利息などについて交渉する方法が一般的です。

ただし、交渉によってどの程度負担を軽減できるかは、債務の内容や債権者の対応によって異なります。元本そのものが減額されるとは限らず、合意した内容に沿って返済を続けられるだけの収入も必要です。

株の損失による債務だけでなく、カードローンなど複数の返済を抱えている場合は、債務全体を整理したうえで専門家へ相談するとよいでしょう。

(参考:法テラス「無料法律相談・弁護士等費用の立替」https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html)

個人再生で借金を減額して分割返済を目指す方法

個人再生は、裁判所を利用して債務の減額を図り、認可された再生計画に沿って返済していく手続きです。将来にわたって継続的に収入を得る見込みがあることなど、利用には一定の条件があります。

また、住宅ローンを返済している場合は、一定の要件を満たせば「住宅資金特別条項」を利用し、住宅を維持しながらその他の債務を整理できる可能性があります。

実際にどの程度まで債務が減額されるかは、債務総額や保有財産などによって異なるため、一律に「5分の1になる」とは限りません。最低弁済額の基準は、債務総額が100万円未満なら全額、100万円以上500万円以下なら100万円、500万円超1,500万円以下なら5分の1、1,500万円超3,000万円以下なら300万円、3,000万円超5,000万円以下なら10分の1とされています。加えて「清算価値保障原則」により、自己破産した場合に債権者へ配当される財産の価値がこれを上回る場合は、そちらの金額が基準になります。

なお、対象となるのは住宅ローンを除く負債総額が5,000万円以下の場合です。利用できるかどうかも含め、弁護士などに確認することが重要です。

(参考:裁判所「個人再生手続」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_02_02/index.html)

自己破産を検討する場合に知っておきたい投資による債務の注意点

自己破産は、返済が困難になった場合に裁判所へ申し立て、免責が許可されることで一定の債務について支払義務の免除を受けるための手続きです。

ただし、株式投資などで著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりした事情は、破産法252条1項4号が定める「免責不許可事由」(浪費又は賭博その他の射幸行為)に該当する可能性があります。そのため、「株で生じた借金なら自己破産ですべて免除される」と一律に考えることはできません。

一方、免責不許可事由がある場合でも、事情を考慮して裁判所が免責を許可する「裁量免責」(破産法252条2項)が認められる可能性があります。日本弁護士連合会の「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【報告編】」では、免責許可となった割合は96.85%、免責不許可は0.00%でした。これは自己破産全体の数字ですが、免責不許可事由があっても裁量免責が認められる実務が一般的であることを示しています。

ただし、財産隠しや虚偽の説明があった場合は判断が変わります。投資による債務がある場合は、自己判断せず、早めに弁護士などへ相談しましょう。

(参考:e-Gov法令検索「破産法 第252条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075)

投資に失敗したらまず何をする?ピンチを乗り切る初動対応

株で大損したときに確認したい税金の3つのポイント

株で大きな損失が出た場合は、損失額だけでなく税金の扱いも確認しておきましょう。一定の要件を満たす上場株式等の譲渡損失は、配当等との損益通算や、翌年以後への繰越控除を利用できる場合があります。

ただし、すべての株式取引の損失が対象になるわけではありません。NISA口座で生じた損失は損益通算や繰越控除の対象にならないなどの条件もあるため、自分の取引状況を確認することが大切です。

上場株式等の譲渡損失と配当等を損益通算できる場合がある

「損益通算」とは、一定の利益と損失を相殺して、課税対象となる所得を計算する仕組みです。

上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売却して損失が生じた場合、確定申告をすることで、その年の上場株式等に係る配当等と損益通算できる場合があります。ただし、上場株式等の配当所得との損益通算には、申告分離課税を選択するなどの条件があります。

また、源泉徴収ありの特定口座に配当等を受け入れている場合は、同じ口座内の譲渡損失と配当等が確定申告をしなくても損益通算される場合があります。自分の口座区分や配当金の受取方法もあわせて確認しましょう。

(参考:国税庁「株式・配当・利子と税」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_5.htm)

一定の要件を満たせば譲渡損失を翌年以後3年間に繰り越せる

その年に損益通算をしても控除しきれない上場株式等の譲渡損失が残った場合は、一定の要件を満たすことで「繰越控除」を利用できます。

繰越控除では、残った損失を翌年以後3年間にわたり繰り越し、将来発生した上場株式等の譲渡益や一定の配当等から控除できます。そのため、大きな損失が出た年は、利益がなくても確定申告について確認しておくことが重要です。

なお、繰越控除を受けるには、損失が発生した年に必要書類を添付して確定申告を行い、その後も連続して確定申告書を提出する必要があります。株式の取引がなかった年も申告が必要となるため注意しましょう。

(参考:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1474.htm)

損益通算や繰越控除を利用する際に確定申告が必要となるケース

上場株式等の譲渡損失を配当等と損益通算したり、翌年以後へ繰り越したりする場合は、原則として確定申告が必要です。

例えば、複数の証券会社の口座で生じた利益と損失を通算したい場合は、確定申告によって手続きを行います。また、源泉徴収ありの特定口座でも、損失を翌年以後に繰り越したい場合には確定申告が必要です。

一方、源泉徴収ありの特定口座では、同一口座内に受け入れた一定の配当等と譲渡損失について、確定申告をせずに損益通算できる場合があります。口座の種類や利用したい制度によって手続きが異なるため、国税庁の案内などで確認しましょう。

(参考:国税庁「株式・配当・利子と税」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_5.htm)

株で大損した後に避けたい3つの行動と再発防止策

株で大きな損失を出した直後は、「早く取り戻したい」という気持ちから、普段より大きなリスクを取ってしまうことがあります。しかし、焦って取引を続けたり、借入によって投資資金を補ったりすると、損失だけでなく生活にも影響が及ぶ可能性があります。

まずは投資からいったん距離を置き、生活資金を確保することが重要です。そのうえで、投資を再開する場合に備えて、資金管理や損失の上限など自分なりのルールを決めておきましょう。

損失を取り戻そうとして信用取引やレバレッジを大きくしない

大きな損失が出た後に、「次の取引で取り戻そう」と信用取引の金額を増やすことは避けましょう。

信用取引では、委託保証金を担保として自己資金を上回る金額の取引ができます。そのため、利益が大きくなる可能性がある一方、予想とは反対に株価が動けば損失も拡大します。状況によっては追証や不足金が発生する可能性もあるため注意が必要です。

大損した直後は、損失を取り戻すことよりも、現在の資産や債務の状況を確認することを優先しましょう。投資を続ける場合でも、自分が負担できる範囲を超えた取引を避けることが大切です。

(参考:日本証券業協会「信用取引」
https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/jishukisei/words/0312.html)

カードローンなどの借入だけで投資損失を補填し続けない

株の損失を補うために、新たな借入を繰り返すことにも注意が必要です。

カードローンなどを利用すれば一時的に資金を確保できますが、借りた元金に加えて利息を支払う必要があります。その資金を再び投資に回して損失が発生すれば、投資による損失と借入の返済を同時に抱える可能性があります。

特に、返済のために別の借入を利用する状況になると、家計への負担がさらに大きくなりかねません。投資による債務の返済が難しくなっている場合は、新たな借入だけで解決しようとせず、収支を整理したうえで専門家や公的な相談窓口への相談も検討しましょう。

生活資金と投資資金を分けて損失上限と撤退基準を決める

再び大きな損失を抱えないためには、生活に必要なお金と投資に使うお金を分けて管理することが重要です。

家賃や住宅ローン、食費、教育費など、日常生活に必要な資金まで投資に回してしまうと、相場が下落した際に生活そのものへ影響が及ぶ可能性があります。投資は、当面使う予定のない余裕資金で行うことが基本です。

また、「いくらまでの損失なら受け入れられるか」「どのような状況になったら取引を見直すか」など、自分なりの基準を事前に決めておく方法もあります。損失が発生してから判断するのではなく、あらかじめ資金管理のルールを設定しておくことが再発防止につながります。

(参考:金融庁「資産形成の基本」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/knowledge/basic/index.html)

まとめ:株で大損しても放置せず損失額と支払い状況を整理して対処しよう

株で大きな損失が発生した場合は、焦って損失を取り戻そうとするのではなく、まず現在の損失額や支払い状況を正確に把握することが重要です。特に信用取引では、追証や強制決済後の不足金が発生し、追加の支払いが必要になる場合があります。

不足金の支払いが難しいときは放置せず、証券会社へ確認したうえで、必要に応じて弁護士や法テラスなどへの相談も検討しましょう。状況によっては、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理が選択肢となる場合もあります。

また、上場株式等の譲渡損失については、一定の要件を満たせば損益通算や繰越控除を利用できる可能性があります。大損した後こそ新たなリスクを取るのではなく、家計と投資資金を見直し、生活の安定を優先しながら一つずつ対処していきましょう。